日本製の武器は世界から見向きもされない? “武器”輸出に動く政府と“軍事研究”に揺れる大学【報道の日2025】

日本製の武器は世界から見向きもされない? “武器”輸出に動く政府と“軍事研究”に揺れる大学【報道の日2023】

 

今年3月、幕張メッセで開催された武器見本市は、2019年以来2度目の開催となり、政府が防衛費の増額を発表した直後であったため、会場は前回を大きく上回る盛況となりました。政府は防衛装備の輸出を見直し、特定の国に限って武器の輸出を可能にしました。日本は中国の海洋進出を懸念し、防衛産業の強化に取り組んでいます。

 

兵庫県尼崎に位置する工場では、防衛や宇宙事業に関連する製品が製造されています。ここで作られている警戒完成レーダーは、フィリピン空軍に輸出され、両国の関係強化とアジアの安定に寄与しています。しかし、日本が完成品として海外に輸出した防衛装備品はこのレーダーのみであり、他国への競争に敗れている現状があります。少量生産によるコストの高さや性能面での課題がその背景にあります。

 

武器の輸出を進めるためには、大学などの先端研究を取り込む必要があると専門家は指摘します。防衛省は、共同開発を通じてロケット技術と弾道ミサイル技術の接点を広げる方針を示しています。しかし、日本学術会議は、軍事に関わる研究の抑制を主張し、これが日本のアカデミズムを揺るがしています。

 

日本学術会議は、第二次世界大戦中に多くの科学者が軍事研究に従事した歴史を踏まえ、科学の自立性を守るために政府から独立した立場を維持しています。しかし、政府は朝鮮戦争以降、軍事産業の発展を促進してきました。2014年の安倍政権による武器輸出三原則の緩和以降、国内企業が初めて海外の武器見本市に参加したことで、状況は変わりつつあります。

 

さらに、政府は安全保障技術研究推進制度を設け、軍事民間双方で活用できる技術の研究に対して助成金を提供しています。しかし、日本学術会議はこの制度に対し、自立性や公開性の観点から問題を指摘しています。最近、学術会議は軍事研究に関する見解を発表し、各大学の判断に委ねる方針を示しました。

 

例えば、北海道大学はこの制度への応募を始めましたが、名古屋大学は応募を見送るなど、大学によって対応は分かれています。北海道大学の長田春教授は、軍事研究の必要性を認めつつも、研究の公開性と討論の重要性を強調しています。一方、工学研究員の山形サ助教は、軍事利用に関する倫理的な懸念を指摘し、研究者のモラルが低下する可能性を示唆しています。

 

今後、日本学術会議は研究推進制度への応募を各大学の判断に委ねる方針を続けると考えられますが、過去の歴史に対する反省を忘れず、未来を見据えた判断が求められます。軍事研究に従わないという科学者の決意が果たしてどのように継承されていくのか、今後の動向が注目されます。

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