日本西端で着々と進む自衛隊抑止力強化 佐世保「崎辺岸壁」整備 防衛力の南西シフト
佐世保市に位置する陸上自衛隊水陸機動団では、最新の装備品である水陸両用車AAV7の積み込み作業が進められています。この車両は、他国に島を侵略された場合の奪還作戦に投入される重要なもので、海と陸の両方を行動できる特性を持っています。しかし、現在の訓練や有事において迅速に対応するためには、いくつかの課題が存在しています。
相浦駐屯地には、輸送艦にAAV7を積むための適切な岸壁が整備されていないため、輸送艦が待機する岸壁までの陸上輸送が必要です。このため、毎回の訓練時において時間と労力がかかる状況が続いています。今回の輸送作業では、夜間に大型トレーラーを使用して、約30分かけて海上自衛隊の倉島岸壁に到着しました。指揮官は、この輸送方法が現状では避けられない負担であると認識しており、より効率的な運用が求められています。
さらに、佐世保には海上自衛隊に専用の岸壁が不足しており、大型護衛艦の停泊にも支障をきたしています。海上自衛隊OBの広大王子さんは、基地機能の整備が遅れていると指摘し、艦艇の数に対する岸壁の不足が深刻であることを強調しました。このような状況の中、佐世保の自衛隊は大型岸壁の整備に着手しており、これにより水陸両用車を直接輸送艦に搭載することが可能になる見込みです。
この新しい岸壁が完成すれば、陸上自衛隊の運用能力は飛躍的に向上し、迅速な対応が可能になります。しかし、この整備は基地の戦用化を進める側面も持ち合わせています。現在進行中の工事は、佐世保を陸海統合運用拠点へと変える大規模なプロジェクトであり、完成は5年後を予定しています。
今回の岸壁整備は、自衛隊の抑止力を大幅に向上させるものであり、その歴史的な意義も大きいと考えられています。数十年後に振り返った時、このプロジェクトが自衛隊の機能や役割を根本的に変えた瞬間であったと認識されるかもしれません。佐世保の自衛隊が抱える運用上の問題を一気に解決する可能性を秘めたこの整備は、今後の国防における重要な一歩といえるでしょう。